地域に受け継がれる水神祭とは

本石灰町に鎮座する大崎神社において、令和7年5月28日(水)、本年度の「水神祭(すいじんさい)」が執り行われました。
この祭りは、私たちの生活の基盤である「水」への感謝を捧げるとともに、地域の安寧と発展を祈る、長年にわたって受け継がれてきた大切な行事です。
昔から水は、人々の暮らしと密接につながってきました。
井戸を掘り、川を渡り、海とともに生きる――そんな日本人の生活の中で、水は神聖なものとして敬われてきました。
本石灰町もまた、水とともに歩んできたこの土地だからこそ、水神様に感謝を伝えるこの祭りが、今も変わらず大切に守られています。
【当日の様子】準備から直会まで

当日は午前10時より、自治会の役員をはじめとした町内の関係者が大崎神社に集い、境内の清掃、供物の準備、祭壇の設営などを丁寧に進めていきました。
空には晴れ間が広がり、初夏の風が木々の葉を揺らす中、自然と心が整っていくような清々しい時間が流れていました。
午前11時、諏訪神社よりお越しいただいた神職お二人を迎え、厳かに神事が始まりました。
祝詞が響き、玉串が捧げられ、一人ひとりが神前に向かって頭を垂れるなか、町に流れる水、そして日々の暮らしそのものに対する感謝の心が、静かに、しかし確かに共有されていきました。

神事の終了後は、直会(なおらい)を開催し、参加者同士で神事の余韻を分かち合いながら、和やかに地域の話題に花を咲かせました。世代や立場を超えて集い語り合えるこの時間も、水神祭の大きな魅力のひとつです。

水の恵みとともに暮らすということ

水は、私たちにとってあまりにも当たり前の存在です。
蛇口をひねれば出てくる水、食事を作るとき、洗濯や掃除をするとき、体を洗うとき。朝目覚めてから夜眠るまで、私たちは水とともに生きています。
しかしその「当たり前」が、いかにかけがえのないものであるかを、こうした神事の場は思い出させてくれます。
水がなければ、作物は育ちません。清潔な暮らしも、健康も、文化的な営みも保つことはできません。水の豊かさは、生活の豊かさそのものを支えているのです。
水神祭は、そうした自然の恵みを見つめ直し、あらためて感謝の気持ちを込める機会です。
また、近年は地球環境の変化や異常気象によって、水のあり方そのものが大きく揺らいでいます。だからこそ、自然と寄り添い、謙虚な気持ちで向き合う心が、今の時代にこそ求められているのではないでしょうか。
恵比寿様への祈り〜商売繁盛と家内安全〜

本石灰町においては、水神様への感謝とあわせて、町を見守ってくださる恵比寿様への祈りも大切にされています。
商売繁盛の神様として知られる恵比寿様は、地域の事業者や商店にとって、日々の営みを見守る存在です。
この日も、神前には町の繁栄と家族の無事、地域経済のにぎわいを願う声が多く寄せられました。
地元で生きる人々が、こうして自然と神々への感謝を忘れず、心を重ねることは、町全体の絆を育てる大きな力になっています。
地域の伝統とともに、未来へ

水神祭は、単なる伝統行事ではありません。
それは、自然の恵みに手を合わせる心を育み、地域に生きる人と人とを結ぶ「まちの文化」そのものです。
今回の祭典も、多くの方々のご協力のもと、無事に執り行うことができました。
こうした行事を通して、自然とともにある暮らしの意味を知り、日々のありがたさを忘れない心を、これからの世代にも丁寧に手渡していけたらと願っています。
今後も本石灰町自治会では、地域の文化と暮らしを支える活動を続けてまいります。
引き続き、皆さまのご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。